徽章羽根社会保険労務士事務所

     HANE The Labor & Social Security Attorney's
青空

この記事は、2019-06-19に更新されたものです。

災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働

1. 災害時の時間外労働

労働基準法は、地震その他の災害などによって臨時の必要が発生した場合の時間外労働について、行政官庁(労働基準監督署)の許可(又は事後の届け出)によって、36協定によらず、時間外・休日労働を許しています。

労働基準法 第33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)  災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
2 前項ただし書の規定による届出があつた場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。

2. 「時間外労働の上限規制」との関係

また、平成31年4月1日から始まった「時間外労働の上限規制」について、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働」は、上限規制の対象ではありません。

3. 割増賃金

割増賃金については、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働」であっても、36協定による時間外・休日労働と同様の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。

さらに、大企業においては、月60時間を超える時間外労働に対しては、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働」であっても、50%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。(中小企業は令和5年4月1日から)